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天童荒太氏の第140回直木賞受賞作「悼む人」を堤幸彦監督が映画化することになり、若手実力派俳優の高良健吾が主演を務めることが明らかになった。堤監督は2012年に向井理主演で同作を舞台化し、11都市での公演で約5万人を動員。新たに映像世界を作り上げるため、主人公坂築静人のもつ独特の存 天童荒太氏の第140回直木賞受賞作「悼む人」を堤幸彦監督が映画化することになり、若手実力派俳優の高良健吾が主演を務めることが明らかになった。堤監督は2012年に向井理主演で同作を舞台化し、11都市での公演で約5万人を動員。新たに映像世界を作り上げるため、主人公坂築静人のもつ独特の存在感と孤独な瞳を体現できる男として、高良を指名した。また、ヒロイン奈義倖世を3年ぶりの映画出演となる石田ゆり子が務める。高良が演じる静人は、縁もゆかりもない死者を悼むために放浪の旅を続けているという役どころだ。撮影の約1年前から堤監督のラブコールを受けた高良は、オファーを快諾。「台本も原作も読むたびに役の印象が変わる。静人の行動が皆さんにどう映るのか、どう感じるのか、想像がつきません。僕自身、現場に立って毎日探していきます。静人の心に寄り添えるように」とコメントを残し、クランクインしている。また、石田が原作の大ファンだと聞いた堤監督は直接面会し、真剣な眼差(まなざ)しとはかなげな容貌に倖世を見出した。夫を殺害した罪を背負いながら静人と行動をともにする倖世に扮する石田は、「奈義倖世という役は、私にとっては並大抵の想像力では演じられない役です。本当に難しい、本当に深い役です。彼女の苦しみ、悲しみ、そして『悼む人』である静人に出会って、生まれて初めて得てゆく何か。招恼意、全身全霊で挑みたいと思います」と並々ならぬ意欲をうかがわせている。入念な準備を経て撮入した高良は、「石田さんと精いっぱい、2人の役の覚悟にしがみつこうと思っています」と静かな決意表明。一方の石田は、初共演となる“座長”の高良について「そこに立っているだけで『静人』がいると感じます。素晴らしい存在感と才能をもった方だとずっと思っていました。高良さん演じる静人の声を聞いたとき、倖世として何を感じるのかとても楽しみです」と語った。舞台でも脚本を手がけた大森寿美男とともに、今度は映画化に取り組む堤監督は、「私はこの作品を舞台なり映像なりでより多くの人々にご覧いただき、世の不条理の痛みを少しでも緩和できればと考えた。私ごときの力量で大それた思いだが、作品にしたくて、いてもたってもいられなくなったのも事実である」と思いを吐露。それだけに「作品に敬意を表し、これまでの私なりの撮影手法を一度初期化し『デビュー作』のつもりで挑んでいる」と不退転の覚悟をにじませた。映画では、静人の帰りを待つ末期がんの母親、別れた恋人の子どもを妊娠した妹、静人を追う人間不信の雑誌記者、倖世に殺害されたはずの夫らの思いが交錯し、生と死、愛と憎しみ、罪と許しのドラマがつむがれることで、人間の死生観を浮き彫りにしていく。「悼む人」は、2015年に全国で公開。展开全部↓ 收起全部↑